12 戦闘VS悪魔の騎士(1) [DQ1]

12 戦闘VS悪魔の騎士(1)


 アルスはまず、ドムドーラでロトの鎧を手に入れてからロトのしるしを探すことにした。翌日、アルスはメルキドを旅立ち、ドムドーラ砂漠にある廃墟となったドムドーラの街まで戻ることになった。ゴーレムとの戦いで失った武器や防具があるので、メルキドで新しい装備を整えてから向かった。新しい装備品は炎の剣と水鏡の盾である。
 メルキドを出発して半日が立ち、砂漠の前方にドムドーラの城壁が見えてきた。アルスは足を速めた。
 街は冷たい風が吹いていた。
 城門を入ったアルスが魔物に気を払いながら街の東に向かい、メルキドのゆきすんが教えてくれた宿屋の入口付近からいける横の路地に入ろうとしたときだった。アルスは何者かの気配を感じた。
 アルスは兜の庇を下ろし炎の剣を抜きながら全神経を集中させて気配をうかがった。低いうなり声が聞こえた。
 突然、廃屋の宿屋の入口から、アルスの倍もある魔物が飢えた野獣のように咆哮を上げ、鋭い爪を立てて襲い掛かってきた。獰猛な獲物を求めてさまよう広野の殺し屋キラーリカントだった。
 アルスは素早く路地の壁を背にし、そしてアルスが呪文を唱えた。

 我汝に安息を与え
 ひと時の夢に誘わん

「ラリホー!」
 アルスが呪文を唱えると手から紫の泡の魔力が現れ紫の泡がキラーリカントに当たると、キラーリカントは眠ってしまった!
 ラリホーは一定範囲内にいる生物に、強力な睡魔をもたらす呪文だ。この呪文によって眠りにつかされた者は、眠りを覚ます呪文でも使わない限りひどければ半日の間はドラゴンが吠えようが何だろうが起きることはない。
 この呪文を覚えてからはアルスの得意な呪文になりつつある便利な呪文である。
 キラーリカントは眠っている。さらにその間に、アルスは距離を取り、炎の剣をかざした。剣から炎がほとばしる!炎の剣には炎の呪文ギラが封じられているのだ。
 こうして、アルスは炎の剣の力で相手をひるませ、アルスは動きの止まった魔物をジャンプ斬りで切り捨てた。
 やっと魔物を片付けた。一陣の風が吹き抜けて行った後だった。兜の庇を上げようとするとアルスは背中に視線を感じて振り向いた。
「あっ!?」
 アルスの驚きは大きかった。頭上から笑い声がした。
 なんと、別の敵がようやく見えた大きな木の巨大な根元に堂々と立っていた。
「お前は!?」
 アルスが叫ぶと、「わが配下との戦い見させてもらった。お前があのローラ姫を守っていたドラゴンを倒したとはなっ!」相手の魔物は肩を揺らし声高に笑い続けた。
 黒と灰色と青の鎧に身を包み、巨大な斧と盾を持っている。
「竜王様に仕える魔族悪魔の騎士だっ!」
「なにっ!?魔族の悪魔の騎士!?お前かっ、ドムドーラの人々を皆殺しにした張本人はっ!?」
「いかにも。それというもの、ここに眠るという伝説の鎧を奪うためだったのだっ!」
「なにっ!?」
「勇者の子孫にロトの鎧を渡さぬためになっ!」
「私にロトの鎧を渡さないために、街の人たちまで巻き込んだのかっ!?そのためにこんなことをするなんて!おりてこいっ!」
 アルスが叫んだ。
「だが、我らにとっても貴様が許せぬ!計画を邪魔した貴様がなっ!この悪魔の騎士唯一の魔族の一人として、竜王様の期待に存分に答えてきたっ!数ある戦闘の中でも、思い通りにならなかったことはただの一度だってないっ!魔族であるこの悪魔の騎士、貴様に倒せるわけがないっ!」
 悪魔の騎士は木から飛び降りると斧を構えた。
「なぶり殺しにしてやるわいっ!徹底的になっ!」
 悪魔の騎士がいった。そして残忍な悪魔の騎士は呪文を唱え始めた。それを見たアルスは、慌ててこっちも、別の呪文を唱え始める。
「ラリホー!」
 悪魔の騎士が唱えるのと同時にアルスもまた呪文が完成する。
「マホトーン!」
 相手の呪文を一時的に封印する呪文である。
 ラリホーは便利な呪文だ。だからこそこの呪文が自分に使われると恐ろしいこともアルスはわかっていた。アルスが呪文を唱えると、黄色い魔力の光が円を描きながら手から放たれた。
 相手のラリホーの紫の泡の魔力とマホトーンの魔力がぶつかったかと思うと、ラリホーの紫の泡の魔力が消えてしまった。悪魔の騎士の呪文を封印した!
 悪魔の騎士の様子が変わり、魔族は体勢を変え、巨大な斧を振り回してアルスを攻撃した。
 巨大な斧は、アルスに襲い掛かった。斧の攻撃を水鏡の盾で受け止めると衝撃が走った。さらにうなりを上げながら鋭い刃がアルスの体を何度もかすめた。
 アルスはバック宙して横っ飛びし、斧をかわして斬りかかった。
 斧の刃先がアルスの頬をかすめたのと、アルスの炎の剣の刃先が悪魔の騎士の顔をかすめたのは同時だった。
 だが、悪魔の騎士はアルスの炎の剣を盾で弾き返すと、再び攻撃してきた。
 悪魔の騎士が体勢を変え、再びアルスに斧を振り下ろしたときだった。
 突然、鋭い刃先がアルスの顔面の直前で止まった。
 さっきジャンプしたアルスが悪魔の騎士めがけて炎の剣を振り下ろしていた効果がようやく現れたのだ。ごく普通の武器では例え威力が高くても純粋な魔族にはダメージすら与えられない。だが炎の剣には、魔力が封じられており、普通の生物はもちろん、魔族にも有効な攻撃手段になる武器だ。
「おのれっ!」
 悪魔の騎士が言うと、肩口から噴出したものがその顔を汚し、飛び散った。
 と、悪魔の騎士の体が崩れ落ちた。すると、悪魔の騎士が最後の力を振り絞ってやっと立ち上がろうとした。だが、「ぎゃああああっ・・・・・・」悪魔の騎士は悔しそうに断末魔の悲鳴を上げ、力尽きてその場に倒れた。
 悪魔の騎士の身体がやはり他の魔物と同じように青白い淡い光に包まれてゆっくりと消えていった。
 今までの相手で、1番手ごわい相手だった。
(続く)

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ともちん

アルスは魔力も戦闘能力もあがってきていますね。
どんどん勇者らしくなってきていて、一段と頼もしく感じます。
by ともちん (2012-03-03 00:13) 

あばれスピア

ともちんさん
こんばんは。
お返事遅れました。
戦闘の中でのレベル的な成長が伝われば幸いです。
by あばれスピア (2012-03-03 00:44) 

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