15 ロトの剣(4) [DQ1]

15 ロトの剣(4)

「わしは大魔道だ!」
「大魔道!?どうしてこんなところにロトの剣があるんだ!?」
 アルスが思わず尋ねた。
「かつてここにあった精霊神ルビスの神殿に奉納されておったのだ!」
「何でそんなことを知っているんだ!?」
「わしはかつてその神殿に仕える最高位の大魔道士だったからだっ!」
「何っ!?」
 敵の正体を知り、アルスは思わぬ答えに驚いていた。
「5年前の天変地異の後、わしは死に物狂いで神殿を守ろうとした!だが、必死の抵抗もむなしく、わしは、殺されてしまった!その後、魔物としての命を吹き込まれ、わしは大魔道として、蘇ったのだ!」
「何っ!?」
「そして、わしは、神殿にあったロトの剣を封印したのだ!わしが死なぬ限り解けぬ封印をなっ!」
 アルスには予想外のことでとても信じられないことだった。
「なんて奴だ!人間だったのに竜王の手先になるなんて!」
「命が蘇ってわしは悟ったのだ。闇こそが永遠の安らぎを与えているのだ・・・・・・となっ!わしらにとって陛下は絶対なのだ!ロトの血を引く者よ!」
 大魔道は杖の先の水晶球を突き出して恐ろしい形相で睨み付けた。その眼は憎悪に燃えていた。
「沼地で我が仲間を倒したようだが、わしはそうはいかんぞ。さあ、死んでもらおーっ!」
 大魔道はさっそく杖を構えた。
「べギラマ!」
 だが、同時にアルスも兜の庇を下ろして呪文を唱えていた。
「マホトーン!」
 水晶球から発した赤い炎がアルスに直撃したと思った瞬間、アルスの手のひらから発した黄色い魔力の光が円を描きながらその炎を受け止めていた。
 大魔道はさらに杖を持つ手に力を籠めた。
 アルスもまた、ありったけの力を集中させた。
 と、アルスの光が赤い炎を徐々に押し返して、ほぼ互角になった。
 押したり押されたりの激しい戦いになった。
 大魔道はさらに力を籠めた。その顔は汗でびっしょり濡れていた。
 かなりの力を消耗していた。
 アルスは、全身を震わせながら、さらに力を籠めた。
 と、アルスの光が徐々に速度をあげながら押し返すと、大魔道の炎が力尽きて水晶球の中に消えた。
 大魔道の顔が蒼ざめた。
 アルスの呪文が大魔道の呪文を封印した!さっそくアルスが炎の剣でジャンプ斬りを放つと、炎の剣は水晶球を直撃し、表面を鋭いひびが走った。
 水晶球は真っ二つに割れ、杖から取れて床に転がり落ちた。
 大魔道は愕然として割れた水晶球を見ていた。
 そのときすでに、アルスは大魔道に向かって走っていた。
「ええいっ!」
 気合を籠め、高々と宙にジャンプして、両刃の欠けた炎の剣を思いっきり振り下ろした。
 杖が真っ二つに折れて、大魔道の眉間から首にかけてざっくり避けていた。
「ぐおおおおっ!」
 部屋中に大魔道の悲鳴が轟いた。
 大魔道は苦しそうに全身を痙攣させた。やがてそのまま崩れ落ちると、「ぎゃあああああああああーっ!」絶叫しながら、全身が青白い光に包まれ、やがていずこへともなく消えてしまった。
 不気味なほどの静寂が戻った。
 しばらくアルスは呆然としながら休むと、ロトの剣の前に行った。
 いつの間にか大魔道の封印が解けていて、ロトの剣を埋めていた透明なクリスタルは粉々に割れていた。
 アルスはおもむろにロトの剣を、台座から思いっきり抜いてみた。
 アルスにちょうどよい重さで、初めてみたのになぜか以前から自分の武器だったような気がした。
 ああ。この美しい剣が、あの剣ですか!邪悪なモンスターの群れと戦い、魔王を倒した、あの勇者ロトの!
 アルスはぐっと力を籠めて握りしめると、一瞬手が離れなくなってしまったのかと思うほど、手がぴったりと柄に吸い付いている気がした。
 アルスはロトの剣を握り直すと、右足を引きずりながらこの地下1階部屋を出て、さらに下へ迷路の奥へと向かった。地下4階まで戻り、さらに奥へ進んだ。途中で無限回廊を迷ったりもしながら、どんどん下へおりていくと、地下6階でまた下におりる長い階段があった。アルスはその階段をおりて、あっ!?思わず目を見張った。
 巨大な地底に、大理石の宮殿が聳え立っていた。
 ラダトーム城の宮殿と同じくらいの大きさだ。宮殿の門までは大理石の床と壁で出来た廊下で繋がっている。その下は真っ青な水で、たくさん満たされている。
 地底湖の湖が宮殿の周りを囲んで、堀の役目をしているのだ。
 そして、この地底にはさらに一段とむっとするような殺気と悪の匂いが充満していた。
 地下7階の竜王の真の宮殿だった・・・・・・。

あとがき
いよいよ竜王の城まで来ました。
しばらく1は短い話が多かったですが、今回はちょっとがんばりました。
竜王がいると思われた部屋から、ロトの伝説と同じように地下へ。
ちゃんと途中で階段を上がって、ロトの剣の部屋まで行くようにしました。
ちょっとしかかけませんでしたが、無限ループの階も忘れずに登場。
私も始めてやったときは迷いました。
音楽でわかりましたが。
次回、ついに最終決戦です。
※次回は7月内に更新予定です。
バイトの都合により変更になる可能性があります。
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ともちん

緊張しながら読みました。
無限ループ階など、懐かしいですね。
竜王の質問に試しに答えたら
お城の外に出された苦い思い出も
よみがえってきました^^;
by ともちん (2012-06-09 01:36) 

あばれスピア

ともちんさん
こんばんは。
少ししかかけませんでしたが、無限ループ階も大事なトラップだと思ったので追加しました。
竜王の質問については・・・次回をお楽しみに。
by あばれスピア (2012-06-09 23:05) 

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