3 ルビス [DQ3-3]

3 ルビス



 アルスたちは4階から3階に戻ると、北の回転する床の先に1階へ飛び降りる場所を発見。
 飛び降り新しく見つけた階段からずっと上の階を目ざし4階から5階へと続く階段をのぼり始めると、男たちは上の階からの気配に気づく。
「ギラ!」
 あの臆病なはぐれメタルが、ギラを唱えて襲い掛かる。
 しかしアルスたちが攻撃する間もなく30秒ほどではぐれメタルは階段の角に隠れてしまい、相手の呪文で床などの焦げた臭気が満ちた。
 だが、攻撃がおさまらぬうちにガメゴンロードの群れが現れた。
 火炎の息を吐くガメゴンロードにアルスたちは苦戦した。女たちはそれぞれ武器を振るうが、燃え盛る火炎に腕が熱い。
『ラリホー!』
 男たちの声がハモって唱えるラリホーの魔力も、ガメゴンロードたちの火炎の息に阻まれ唱えるのがやっとで効果を発揮せず。
 さらに、素早く仲間たちに回復呪文を使い逃げ出す極楽鳥も敵に加わる。

 聖なる癒しのその御手よ
 母なる大地のその息吹
 願わくば我が前に横たわりしかの者たちに
 今一度の力を与えんことを

「ヘボマラ・・・・・・」
『ラリホー!』
 1度に複数を回復する呪文ベホマラーを唱えようとした極楽鳥を男たちが声をハモらて眠らせた。
「これじゃやられちまう!アルスとミゼラは援護してくれ!ローザは後ろを守るんだ!」
 叫ぶエルトは自信に満ちていた。
 アルスとミゼラは道を開け、エルトははやぶさの剣と水鏡の盾を構え前に出た。
 早速ガメゴンロードたちが襲い掛かってきた。エルトは呪文を唱えた。相手の呪文よりエルトが早い!
「マホカ・・・・・・」
「ルカナン!」
 右手に青い魔力の光が宿り、一瞬で光はガメゴンロードたちを包む。ルカニ系高位の呪文ルカナンだ。
 魔力の光は、飛掛る魔物の守備力を下げた。直後に相手が唱えた自分に対する呪文を総て唱えた相手に返す呪文反射の呪文マホカンタが発動し、ガメゴンロードの前に魔力で作られた丸い光の壁が現れた!この状態でガメゴンロードに呪文を唱えると光の壁が呪文を跳ね返すが、エルトの呪文が早いおかげで直接攻撃で倒しやすくなった。極楽鳥がミゼラに倒され、アルスが倒したガメゴンロードの断末魔が響く。
 5階の中央の部屋に飛込み、アルスが奥の台座の大きな女神の石像に近づく。アルスは目の前の石像をながめた。不思議な気品の漂う美しい女神像だ。
「これだ!」
 アルスが袋から妖精の笛を出して唇に当てると、元気な音色が流れた。
 妖精の笛を吹き終わると、精霊神ルビスの像を中心に巨大な三角の光が4つ出現。光が石像を包んで四角錐となり、像は光に包まれ四角錐は小さくなり砕け散る。
 石像を包んだ光が消えると精霊神ルビスが立っていた。肩より少し長いラベンダーの髪色をした美しくて、おだやかな表情だ。
「ああまるで夢のよう!よくぞ封印を解いてくれました」
 ルビスはやさしい声で語りかけた。
「ありがとう。私は精霊神ルビス。この大地を作ったものです。今こそあなた方の先祖のことを話しましょう」
 ルビスは語る。
「勇者アルス、あなたの先祖ははるか昔あちらの世界で大魔王を倒すため勇者とともに戦った魔法の才能を持つ双子の妹の子孫。彼女は世界が平和になると、父親の親友の息子と結ばれて暮らしました。それから長いときが流れてその子孫たちはアリアハンで暮らすようになった」
 全員ではないが、ルビスはアルスたちの先祖について話した。ミゼラはその勇者とともに戦った城の兵士で、平和になると兵士長に昇格したという。彼女の子孫も長いときが流れてレーベ周辺で暮らすようになったらしい。
 特にローザはすごかった。彼女は父親がサマンオサの人間で、母親がジパングの人間だった。その父親の先祖がかつて大魔王を倒した勇者だという。王族だった彼は平和になると父親の後をついで国王となった。そしてローザの父親は生前サマンオサで国王に仕えるスパイだったという。彼が任務の最中にジパングに立ち寄り、ローザの母親と出会った。だがローザの父親は旅の最中に魔物との戦いで死亡し、母親は難産の結果命を懸けてローザを産み亡くなった。身寄りもいなかったことからジパングの人々はローザを船で異国にやることに決め、ローザの父親の形見のルビーのペンダントを添えて海に流した。ペンダントは金に換えればかなりの金額になりそうな立派なもので、運がよければいい人が育ててくれると思ったらしい。船はさまざまな人々によって運ばれ、最終的に彼女はロマリアの街門に捨てられたという。
「お礼にアルスにこの聖なる守りを差し上げましょう。あなたのさだめは、ゾーマから世界を解放し平和と安らぎを齎すこと。それが、自ら選んださだめ。そしてもし大魔王を倒してくれたなら、きっといつかその恩返しをいたしますわ。私は精霊神ルビス。この世界に平和が来ることを祈っています」
 ルビスはアルスを見た。彼らはいつか出会うさだめだった。
「はい、ゾーマを倒します!」
 アルスが答えると、ルビスは微笑んだ。
 ルビスの姿が光とともに静かにゆっくり消えると、聖なる守りが残った。
 アルスは聖なる守りをつかんだ。
「やったわね!」
 ミゼラがアルスに駆寄った。

あとがき
ルビス登場です。
なんかこの人が登場すると、気が引き締まるのは私だけですかね。
あと2の秘密が明らかに。
ロトアルスたちの先祖たちについては・・・まあ話すのはだいぶ先のことになりそうです。
いろいろ想像してみてください。
さあ、いよいよ必要なものがそろいました。
次回はあれとあれが手に入ります。
※次回は7月1日更新予定です。
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