4 虹の滴(1) [DQ3-3]

4 虹の滴(1)



 塔を飛び降りて脱出したアルスたちは、まず聖なる祠に行くことにした。
『ルーラ!』
 アルスとローザとエルトの声がハモった。リムルダールに飛んで、そこから船で聖なる祠に向かった。聖なる祠では、以前と同様神父が待っていた。
「ここは聖なる祠。よくぞ来た!今こそ雨と太陽が合さるとき」
 聖なる守りを見てアルスを真の勇者と認めた神父は、アルスたちが見つけた雨雲の杖と太陽の石を手に取った。雨雲の杖と太陽の石が虹の光を放つと2つの光が宙を回り、上空で1つになると美しい石に姿を変えていた。
「そなたにこの虹の滴をあたえよう!」
 紫色に光り輝く滴の形をした石で、両手にすっぽり入るほどの大きさだった。
「もはやここには用がないはず。ゆくがよい。ちなみにわしの後ろにある宝箱はもう空っぽだから気にすることはないぞ」
 神父は、虹の滴をアルスに握らせた。
『ルーラ!』
 アルスとローザとエルトの声がハモり、マイラに向った。ちょうど、王者の剣が復活しているころだ。マイラに到着し道具屋に向かうとちょうど王者の剣が復活したところで、アルスは不死鳥が雄々しく飛翔する黄金色の紋章が施してある刀鍛冶の名人の道具屋の主人が精魂込めて再生した王者の剣を立派な勇者の盾と一緒に身に着けた。
 オルテガの兜をはじめどこでどのようにして作られたのか想像もつかないが、4つの武具はそれぞれ鋼鉄よりもさらに強固な不思議な金属で作られたものだった。特に王者の剣は、オリハルコンで作られたものだ。
 アルスは、徐に王者の剣を鞘から抜いた。不死鳥の飛翔する紋章と、ジュエルズアミュレットのはめ込まれた鍔。魔力の込められた剣は程よい重さで、まるで昔から自分の剣だったような気がした。力を込めて握りしめると、「うっ!?」ぶるぶるっ・・・・・・と手が震え、一瞬手が離れなくなったのかと思うほどぴったりと柄に吸付いた。と、剣から不思議な力が伝わってきて、その力が血液のように瞬時にして全身を駆巡り、今にも爆発しそうな闘志と力がアルスの全身に漲った。その目は、ギラギラ燃えていた。アルスは、一瞬自分に秘められた闘志と魂がそのまま爆発したのではないかと思った。
 ミゼラたちも、驚いてアルスを見ていた。アルスの全身から凄まじい気迫が迸っているのが、ミゼラたちにも伝わってきたからだ。
『ルーラ!』
 アルスとローザとエルトは声をハモらせ、リムルダールに向った。その翌日、アルスたちはいよいよゾーマのいる島にわたることになった。
 3時間後、アルスたちは西の岬にいた。
 目の前には、黒々とした不気味なゾーマのいる島が横たわり、激しい潮流が渦を巻く海峡が島と岬を遮断していた。
 断崖絶壁の岬の最突端に立ったアルスは、虹の滴を高々と両手で天に翳すと、無心に祈った。

 虹の滴よ
 そして 精霊神ルビスよ
 われらを ゾーマの島に導き給え

 すると、ピカーッ突然虹の滴がまばゆい7色の光を放って岬の突端を7色に包んだ。
 と、すーっと虹の滴がアルスの手から消えると、岬を包んでいたまばゆい7色の光が1本の光の帯となって、闇を切裂き乍ら海峡の上をどんどん凄まじい勢いで伸びていき、一瞬のうちに幅二メートルばかりの美しい虹の橋が2つ黒々としたゾーマの島までかかった。
『わあっ!』
 息をのんで見詰ていたアルスたちは、思わず歓びの声をハモらせた。全員心が躍った。アルスはじっとゾーマのいる島を見ると、「父さん・・・・・・!待っててね・・・・・・!」力強く虹の橋を歩き出した・・・・・・。
(続く)

※次回は3日更新です。
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