4章ー2 闇の噂(2) [DQ4-2]

4章ー2 闇の噂(2)


「コーミズ村、エドガンさんのお宅の、お嬢さんがたと、御見受けするが」
「ええ、マーニャとミネアだけど。おっさんは?」
「わしは、クロービスという貧しい旅の神父だ。実は・・・・・・お前さんがたが仇と狙うバルザックと関係するかはわからんが、モンバーバラのリンダのことで、話があるんだ」
 どうやらマーニャ達がリンダのことを探しているとどこからか聞いて様子を見に来たようだ。
 夜になると、マーニャ達は宿屋でモンバーバラの酒場の売れっ子のバニーガールのリンダと会った。
 リンダは、小柄で、蜂蜜色の金髪。おとなっぽくて、妖精の取りかえっ子じゃないかという風変わりな美女だ。優しい、丁寧な子だ。いつも一生懸命に仕事をしている姿が男たちは好感を持つらしく、酒場で売れっ子なのも、うなずける。だからといって恨まれることもなく、酒場の仲間たちの間でも、姉妹みたいに可愛がられている。
 こんないい子が、なぜあの男みたいなバカに食い物にされてるのか、全く理解できないと、マーニャは思っていた。マーニャ達はリンダ達が泊まっている宿屋の部屋からともに裏庭に出た。ここなら外に話が洩れることもないだろう。裏庭にはクロービスと同様リンダを匿うのに協力していたらしい街の傭兵もいた。
 神父のクロービスは、どうやらリンダに惚れているらしい。
 酒場で働いていたリンダは、やってきた男から話を聞いたあと、誰にも気づかれずに何とか酒場を抜出た。だが、どっかに泊まろうにも持ち合わせがなく、他に頼りになる人を知っているわけでもなく、途方にくれていたところ、クロービスに会った。
 何しろ、見るからに商売女、高価なバニースーツのセットなどを纏った美人だ。クロービスにしてみれば、聖職者であるにも関わらず彼女の美貌からはじめは露骨に下心、魔がさしていずれ利用してやろうと思っていたのだが。半日もつき合ううちに、リンダの純情ぶりを知り、さらに、遥かレイクナバの街で親を亡くし、働くために海を渡ってきたことを知ると、もういけない。やはり同じ街の生まれ、幼いころに親を亡くしていたクロービスは、すっかり同情して、リンダを庇うことに決めた。
 いずれ、ほとぼりがさめたら、普通の男女として一緒に海を渡って、人生を遣り直そうと思ったのだった。
 と、「そのうちに、あの男がモンバーバラでリンダを探し始めたもんで。この宿屋に来た時も部屋には、わししかいないと、なんとか立去らせようとしたんだが・・・・・・あの様子じゃ、いつまで誤魔化せるかわからんもんでな。神よ私に、あわれな子羊を守る力を御与えください・・・・・・」クロービスが言って祈り乍ら欠伸をした。どうやら徹夜には弱いらしい。
「宿屋の旦那さんも、協力してくれて」
 リンダはクロービスの腕にしがみ付いた。
「ずっと、気にかけてくれてたんです」
「そうか。あの旦那もいいとこ、あるなぁ・・・・・・これも神のお導き、人情だ」
 クロービスはグスッと鼻を啜りあげ乍ら、リンダの肩を抱きしめた。
 宿屋の裏庭が、恋人たちの巣だったというわけだ。
 うっとりした顔のリンダに、「それで。何で逃げたの。酒場から」マーニャは尋ねた。
「!御願です!どうか見逃してください!お城になんか行きたくありません!だってマーニャさん、あたし聞いたんです。キングレオのお城に革命や謀反が起こり、国王陛下は殺されたとか。そうして新しい国王陛下は錬金術と称して恐ろしい実験をしているんだと・・・・・・」
「錬金術・・・・・・?」
 マーニャは言ってミネアと、顔を見合せた。
 バルザックは城にいるかもしれない。その可能性がある。
 そして、城では、やっぱり禍々しいことが起っているらしい。女の子たちが揃って帰って来れなくなるような。鳥も恐れて近づかないようなことが。
 だんだん、符丁が合ってきた。
「キングレオの悪い噂は、あたしも聞いたことがあるわ。きっとスケベな国王陛下が女の子を囲い込んでるんだろうって噂になってたもん」
「キングレオのお城で何か起こってるみたい・・・・・・」
 マーニャとミネアがお互いに言った。
 街の傭兵が「錬金術?ああ知ってますよ。確か鉄を金に変えることでしょ?多くの人が研究をしているけど、それに成功した者は1人も、いないはずです。そんなこと、出きるんですかね」と口をはさむ。
「誤解です」
 ミネアが低く言った。
「錬金術の本当の役目は、少し違うんです」
 クロービスが「へぇ、少し違うっていうのは、なんだ?」と興味を持ったらしい。
「お父さんのエドガンは、遠い昔に失われたという錬金術を再現しようと研究をしていて、特別な道具を使って材料を必要なだけ組み合わせ、より珍しい強力な武具をつくり上げる技術の確率を目ざしていたようです」
 へぇぇっ、とみんなは関心してる風情だが。
 説明したミネアとマーニャは、そんなこと、とっくに知っていた。こうすれば普通の武具よりも高い値段で売ることが出きる。遠い昔の一部の限られた王族や不思議な経歴を持つ一族などは、これを利用して金を稼いだり実際に世のために使っていたらしいと父エドガンはマーニャ達に言っていた。
 以前、父の墓を作った後、マーニャ達はすぐにバルザックを探すことにしていた。だがあの裏切者が、どこに行ってしまったか見当もつかず、それぞれの蓄えも少なかったから、マーニャたちは、はやる気持ちを堪えて、旅費を作る傍ら手がかりを探さなければならなかった。モンバーバラまで行って、踊り、辻占に立った。劇場ならたくさん人が来るし、ここならいつか見つかるかもと思った。バルザックを見つけることは出来なかったが最後にキングレオの闇のような噂を聞けたし、旅費もやっと、必要なくらい貯まった。
 マーニャたちは、今度こそ明日、出発する。劇場の座長に勧められた通りまず、コーミズに戻って、父の墓参りをしてから、キングレオの城に向うつもりだ。
 墓参りをすれば、父もきっと喜ぶはずだ。
 故郷に帰るのは久し振りだ。あれから村はどうなっているだろう。みんな元気にしているだろうか。

あとがき
コーミズ関係まで書こうと思いましたが、思いの外モンバーバラでの事が多すぎて今回はここまでにしました。
まだ旅立っていないという。
次回は今度こそコーミズ関係の話、出来ればもう少し先まで行きたいと思っています。
※次回は11月11日更新予定です。
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