8 悪魔神官と魔族の群れ [DQ2上]

8 悪魔神官と魔族の群れ

「いつまで待たせれば気が済むのじゃ!」
 ハーゴンのおどろおどろした声が、大理石の神殿に響き渡った。
 ベリアルと悪魔神官が平伏している奥の祭壇の手前の玉座に、法衣を見につけた純魔族が1人座っている。ハーゴンだ。
「お前たち純魔族を加え新たな力を得たのは、一刻も早く世界を破滅させるため!たかが勇者の子孫どもの王家を1つ滅ぼすごときのことで、もたもたするでない!」
「ははっ、申し訳ございません!されどハーゴン様、今しばらくのご辛抱を・・・・・・!必ずや、近いうち・・・・・・!」
 ベリアルが、額の冷や汗を拭きながら答えた。
 仲間のバズズとアトラスは、今新たな戦いの準備の真っ最中であり、まだまだ時間はかかりそうだ。
 そのとき、横から悪魔神官が口をはさんだ。
「ハーゴン様・・・・・・!」
「何じゃ!」
「勇者の子孫ら、私たち邪教徒を倒そうと旅を続けているとか・・・・・・」
「何!?勇者の!?」
「されどご安心ください!勇者の子孫らは必ずこの私が・・・・・・!」
 悪魔神官は、ベリアルを見て笑うと、自信たっぷりにこう答えた。
 ナナ王女が助けられルプガナにいるという情報を、ついさっき手に入れたからだ。
「もはや子孫らはこの手にあるようなもの!近々、ご朗報をお届けいたしましょう!」
「何っ?」
 驚いてベリアルは悪魔神官を見た。
「どういう意味だっ!手にあるようなものとはっ!」
「誰でも構わん!」
 だが、ハーゴンは一喝した。
『ははっ!』
 ベリアルと悪魔神官が、声をハモらせ再び平伏した。
「とにかく、一刻も早く倒すのじゃ!これ以上の無駄は許さぬ!」
 そういうと、ハーゴンは、やがて謁見の間からたち去った。
 すると、ベリアルが、悪魔神官の腹を探るように鋭い眼で睨み付けた。
「笑わせるな身の程知らずめ。我ら純魔族を差し置いて、もとは人間だったお前らに何が出来るっ?」
「いつか近いうちに答えは出ます。ただ力が強いだけが能力じゃないということがね」
 悪魔神官は、悠然と答えて立ち去った。
 そして、自分の部屋に戻ると、「地獄の使いのグレムリンどもよ・・・・・・!」と、叫んだ。
「グレムリンどもっ!」
 さらに、声を上げて怒鳴った。
 だが、返事はなかった。そのときだった。かすかに笑い声が聞こえてきた。
「ちっ・・・・・・またあそこですか」
 悪魔神官は舌打ちをした。
 粉雪が舞う神殿の外で、半魔族ら4匹がこうもりの羽を羽ばたかせて空中を浮かんでいた。
 烈風が吹きすさぶ砂漠の中でドラゴンの角へ向かっている、勇者の子孫たちの動きを崖の上からまがまがしい目でじっと追っていたあの半魔族、グレムリンたちだ。
 悪魔神官にナナ王女やアルスとカインの情報を伝えたのは、このルプガナでルシルを襲う際に現れなかった残りのグレムリンたちである。
 足早に外に出てきた悪魔神官は、グレムリンたちの後方で、立ち止まった。
 やがて、グレムリンたちが気がつくと悪魔神官は言った。
「すぐに王女を、勇者の子孫らを倒しなさい!一応他の配下の者どもにも命じてはおきますが、あてにならないのでね!それに、新参者の純魔族らにだけは先を越されたくありません!」
 おもむろにグレムリンたちが振り向いて、探るようにじっとまがまがしい目で見ると、「悪魔神官様、我らグレムリンに、どうぞお任せを・・・・・・!」と1匹がいった。
 そして、ほかのグレムリンたちがにやりと笑った。
「任せましたよっ!とにかく頼みます!礼はたんまり弾みますよっ!」
「・・・・・・」
 グレムリンたちは、再び勇者の子孫たちのいる場所へ飛んでいった。
 粉雪の中に、半魔族らの笑い声が聞こえた・・・・・・。

あとがき
というわけで、敵側の動きです。
どうも敵さん、連携がうまく言ってない模様。
そこに付け入る隙はありそうですね、ローレアルス一行。
こういった場面を書くのは、また挑戦したいと思います。
次回はアレフガルドの場面。
ひょっとしたら、ちょっと先も書くかもです。
DQ2の前半、いよいよクライマックスです。

※次回は12月1日更新予定です。
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コメント 4

(。・_・。)2k

次回作 期待してます(^^)

by (。・_・。)2k (2012-11-01 23:32) 

あばれスピア

(。・_・。)2kさん
こんばんは。
ありがとうございます。
へたくそな内容&文章ですが、楽しんでいただければ幸いです。
by あばれスピア (2012-11-02 23:18) 

ともちん

初の試みですね。書くのは大変だったでしょうか?
敵側にも色々あるんですね。両方からの視点って面白いですね。
by ともちん (2012-11-03 02:33) 

あばれスピア

ともちんさん
こんばんは。
あまり考えたことのないないようだったので、大変でした。
せっかく3人称で書いているのだから、こういった視点もありだと思います。
by あばれスピア (2012-11-03 23:05) 

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