ラゴスという男 [DQ2上]
ラゴスという男
「おとなしくしろ！」
とある街の北西にある古い道具屋で、街の屈強な男が勢いよくドアを開けた。表向きは普通の道具屋だが、実は盗賊などとつながりのある、闇商人の道具屋でもあった。男はいきなり客の３０歳ぐらいの男の二の腕をつかんだ。
客は必死に手を払おうとして体をよじったが、街の男はがっちりつかんではなそうとしなかった！
「ラゴス、おとなしくつかまれ！」
それが、５年に渡る、テパの村の水門の鍵を盗んだ盗賊ラゴスの逃亡生活の最後だった・・・・・・！これはケチで戦うのは苦手な忍び込んで盗むタイプのあるちょっと有名な盗賊のコレまでの状況の話である。
ラゴスは天涯孤独の身だった。子供の頃から盗みでもしなければ食事にもありつけなかった。そしていつの頃からか大人になったら世界１の盗賊になろうと思っていた。だが、それは自分の利益や欲ではなく、世間を驚かせるために盗むという変な目的であった。
２５歳のとき、ある貿易商人にテパの村の水門の鍵を盗んできたら、たくさん礼をするといわれた。
命がけの大仕事だった。なぜならあそこへ行く途中には魔物がウヨウヨしているからだ。目的のテパでは、足の速さで村の人々よりもラゴスの方が分があった。うまくいったのは彼にとっては奇跡みたいなものだった。
ところが貿易商人の男は鍵を受け取ると礼をくれるどころか、ラゴスを半殺しの目にあわせると屋敷から叩き出した。当時からテパの村にはものすごい強力な魔力を持つ武具がたくさんあるという噂が流れていた。おそらくその貿易商人の男は鍵と交換に、その武具を手に入れるつもりだったと思われる。憤慨したラゴスはある夜、貿易商人の屋敷へ忍び込むと、鍵とついでに金貨を盗み出した・・・・・・。
その後、かれこれ４年も前のこと・・・・・・。とある港で、ある海賊たちの船を訪ねたラゴスは仲間にして欲しいとやって来た・・・・・・。彼は、「テパの村の水門の鍵を盗んだんだ」と、やたら海賊たちに自慢した・・・・・・。ラゴスはやたら調子のいい男だった・・・・・・。
「この鍵はテパの村の命なんだよ。コレがなければ、２度と水門を開くことが出来ないし、永遠に誰も満月の塔に近づけないんだ・・・・・・」
そういって、海賊たちに売り込んだ・・・・・・。
すると、彼は、海賊の仲間に入ったその晩、海賊たちの有り金をごっそり盗んで逃げてしまった・・・・・・。海賊たちがまんまと別の１人の盗賊にやられた・・・・・・。
実は・・・・・・・。
やはり、４年前。ルプガナの船の老人の一行もラゴスにやられたことがある。
老人の船団がベラヌールに寄港したとき、同じ名前の船乗りになりたいという男がやってきて・・・・・・。全く同じ手口で・・・・・・。
そうやって、あちこち旅をしながら盗賊稼業をしていた。
テパで水門の鍵が盗まれて以来、テパの村人たちはラゴスの行方を追い続けた。ベラヌールや遠いザハンの街まで、捜査の範囲は広がった。それが・・・・・・。
ちょうどアルスたちが風のマントを手に入れドラゴンの角に向かおうとしている頃、彼がどこかの街の牢獄に入れられたという噂が流れてきた・・・・・・。どうやらその街の闇商人の店によく出入りしていたのが、街の人にばれたらしい。
だが、どこの街なのかは、テパの村人たちには検討がつかなかった・・・・・・。もっとも、街の場所がわかったとしても、彼が鍵を持っている保障はないが・・・・・・。
あとがき
ＤＱ２の重要キャラ、ラゴスの話です。
一応アルスたちが風のマントを手に入れて、ドラゴンの角に向かっている時期に相当しています。
その頃、別の場所ではこんなことが起こっていた、とみていただければ。
ラゴスは後半に登場予定。
うまく本編に登場できればいいんですが。
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とても久しぶりに小説を読ませてもらった気持ちがしています。
ラゴスの雰囲気もよく出ていまますね。
後半に出て来るとのこと、どのような登場になるのか・・・
気になってきました。そして、続きを楽しみにしております。
by ともちん (2013-01-05 00:51)
ともちんさん
こんばんは。
今回は私の中ではちょっといまいちなできになってしまったんですが、楽しんでいただけてよかったです。
続きは４月からなので、ちょっと休み期間がありますが、楽しく書けたらいいなと思っています。
by あばれスピア (2013-01-05 23:08)