第2章おてんば姫の冒険 1サントハイム(5) [DQ4-1]
第2章おてんば姫の冒険 1サントハイム(5)
開いた穴から外の様子を探った。外は、よく晴れた明るい日だったので、足場に迷うことはなかった。アリーナは壁伝いに屋根に飛び降りて、降口を探した。通りすがりに厩の様子をうかがってみるが、なかなかいい場所が見つからない。
顔を顰めた途端、背後に忍び寄って来る気配に気付いて振り返る。
「にゃーん」
アリーナは猫を抱上げ、「・・・・・・脅かさないでよ。そうだ。あなたならば道を知っているでしょう。教えて頂戴」撫でてやった。
尻を叩いて下す。猫は一瞬不服そうな顔をしたが、アリーナが見ると、尻尾を掲げて、トタトタと歩き出した。急ぎ、追う。
宝物蔵の裏手に、猫は飛んだ。下は表と違って舗装されてない湿った土の道。傾斜からみても、ここならばなるほど、あまり大きな音をたてず、ケガもせずに降りることが出来そうだった。アリーナは腹這いになり、廂の彫刻を手がかりにさだめ、両手でぶら下った。
「お助けしましょうかな」
「!」
のんびりした声にギョッとして顔を向けると、後ろに手を組んで、ブライが立っている。傍らではクリフトが猫を撫でているではないか。
飛降りざま、「止めないで、じい!クリフト、あなたもよ。たとえ力づくでも、私は行くんだから!」アリーナは構を取り、二人に向直った。
だが、言いながら彼女は見た。男たちが、しっかりと旅装束を纏っていることを。ブライは黄緑のマントを肩から羽織っているし、クリフトはオレンジのマフラーと黒のグローブ、頭にサントハイムの紋章の刻まれた帽子をかぶっていた。
アリーナは呆れて、「・・・・・・まさか。あなた達、私に付き纏うつもりじゃあ」迷子になったこどものような、情けない顔をした。
ブライが「はい、左様で。姫!御1人で旅に出るなどとんでもない!どうしてもというならこのじいめもついてゆきますぞ!」と微笑んだ。
「及ばずながら私も姫様のお供をいたします!さあ参りましょうか」
ブライとクリフトが仲間に加わった!
あとがき
2章突入です。
アリーナといえば、壁蹴破りですよね。
これから彼女はどのように成長していくのか。
サントハイム3人衆の旅がこれから始まります。
※次回は10月1日更新予定です。
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