第2章おてんば姫の冒険 1サントハイム(4) [DQ4-1]

第2章おてんば姫の冒険 1サントハイム(4)

 老魔法使いは急ぎ足に廊下を進んでいったが、「ブライさま。どちらへ?」角の濃い陰の中から、囁き声に呼止られた。
 ブライは振返り、蒼白な顔付きに瞳ばかりを油断なく燃やした若者を認めて、白髭の口許を緩めた。
「御1人で御出しするわけには参らんでな」
 クリフトは「やはりですか。では、及ばずながら、この私めも、是非とも、御伴をさせていただきます」とうなずいた。
 ブライは「ああー?遠慮せぇ。年寄りの愉しみを邪魔するな」と頭を振った。
「愉しみ?」
「美しい姫御前の伴じゃ。気ままで自由な、二人っきりの旅じゃ。愉しみ以外の何ものか」
 ブライが笑って言うと、クリフトは「そのような覚悟でおいでになるのですかっ。城周辺はともかく、山越えともなれば、必ずやモンスターが出るに違いない。私ならば、この身を盾にしてもきっとアリーナ姫をお守りします。なのに、あなたはっ・・・・・・!」と耳を赤くした。
 ブライは「青いのう。お前のほうが守られるのが関の山じゃと思うが」と眉尻を下げた。
(続く)

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