9 竜王の島(2) [DQ2上]

9 竜王の島(2)


 勇者の子孫たちは海竜丸でアレフガルドの西の港に到着した。かつて勇者とラダトームの姫ローラは、ここからアレフガルドの外の世界、新世界に旅立ったといわれている。海竜丸は嵐によりあちこち破損していた。港の船員に修復のことを訪ねると、ここではいい設備がないため、アレフガルドで1番大きいラダトームの港に持っていくことになった。修復には最低でも明日から3日掛かりそうで、今度アレフガルドから船で旅立つ場合は4日後になりそうだ。船は船員たちが操縦してラダトームの港まで運んでくれるというので、勇者の子孫たちは海竜丸を船員たちに任せ、徒歩でラダトーム城に向かった。アレフガルド西の港は、ラダトーム城まではすぐの距離だ。
 こうして勇者の子孫たちは、ラダトーム城に到着した。勇者の子孫が再びアレフガルドを訪れたということで、なんだか気が引き締まる思いだった。しかしラダトーム城では噂どおり、ラダトームの国王がどこかに隠れてしまったらしく、彼らはその姿を見ることが出来なかった。城の中にはかつての繁栄から衰退してしまった国の歴史を嘆くものまでいる始末だった。
 そんな状態で、肝心のハーゴンのことについて、有力な情報は得られるはずもなかった。こうなったらアレフガルド中調べつくしてみるしかない。しばらく勇者の子孫たちは気の毒なくらい疲れ果てていたためラダトーム城で1日休養し、その後アレフガルドを徒歩でめぐってみることにした。勇者の子孫たちは、ゆっくり休養できたので、ラダトームから出発するときにはすっかりもとの元気な体に回復していた。
 また、ラダトームでは新しい装備品を購入した。アルスは大かなづちと鉄兜、カインは新しいオレンジのマントを手に入れた。アルスの鋼鉄の剣や青の飛行用の帽子やゴーグルなどは、今までの戦いでそれぞれ使い物にならなくなっていて処分した。カインが変わりに見につけていた風のマントはナナが使うことにした。
 国王の遠縁に当たる姿を消した国王に代わってアレフガルドを治めているという神父や兵士たちの見送りを受けてラダトームを出発して北東に進み、夕暮れには洞窟にたどり着いた。かつてローラが邪竜の配下のある魔物によってとらえられていた洞窟だが、今は対岸に渡るためのただの海底トンネルとなっている。洞窟を抜けると、すでに夜が明けていた。
 勇者の子孫たちは洞窟を出て南に進み、勇者が邪竜の島へ渡る前にたどり着いたという聖なる祠のある最南端の島に向かった。そしてアレフガルドについて2日目に聖なる祠にたどり着いた。聖なる祠にはかつて勇者にある道具を授けた賢者の老人の子孫に当たる神父が住んでいた。彼は、勇者によってアレフガルドが平和になったあと、祠の周辺から掘り出されて発見されたというあるものを守っていた。それは伝説の勇者に関係のある大事なものだという。それがハーゴンらを倒す手がかりになるかもしれない、と勇者の子孫たちはそれが何なのか尋ねたが、神父には勇者の子孫だと信じてもらえなかった。どうも神父はかつての老人のような呪文までは使えないらしく、以前のように強制的に祠から呪文で追い出されることはなかったが、今はかつての勇者のときと同様どうしようもないようだった。
 と、ここまでハーゴンらに関する情報を何も手に入れられないでいた。残る怪しい場所といえば、もう後ひとつしかない。
 邪竜・・・・・・竜王の島である。勇者が竜王を倒した後でも、アレフガルドの人々はあの島を竜王の島と呼んでおり、今でも人々は竜王のたたりを恐れてあの魔の島には近づかないという・・・・・・。
 聖なる祠を出発した翌日の夕方、前方の北西の海上に竜王の島が見えてきた。
 勇者の子孫たちは、竜王が倒された後に完成した橋を渡って島に渡ると、急峻な道を、西へ登った。
 崖の上には、無残に崩れ落ちた巨大な大理石の壁のようなものが、一部だけ残っていた。どうやら、ここは何かの城跡のようだった。
 その中でも、ほぼ原型をとどめている円柱があった。そのレリーフを見て、『あっ?』勇者の子孫たちは、声をハモらせ思わず息をのんだ。
 ドラゴンだった。今にも襲い掛かってきそうな、おどろおどろしいドラゴンのレリーフだった。
「そう、ここが竜王の城だったのね・・・・・・」
 ナナは、改めて周囲を見回した。
 勇者の伝説によると、断崖絶壁の岬の上に、もやに包まれた不気味な暗黒の城が、アレフガルド中を威圧するようにそそり立っていたという。
 そして、城の下には、地下7階にも及ぶ迷路があり、1番下の地底湖の階の中に巨大な竜王の地下宮殿が浮かんでいたというが・・・・・・。
「おい、カイン、ナナ!」
 アルスが叫んだ。
「ここに、下に行かれそうな階段があるぞ」
 カインやナナが行ってみると、そこには、人がやっと1人入れるほどの穴がぽっかり開いていて、その奥に深い闇が続いていた。
「もしかしたら、この奥に何かあるかもしれないぞ」
 アルスは、先頭に立って階段を下りていった。
 地下は通路になっていた。あちこち崩れていて、床も微妙に斜めに傾いている。
 地下1階を奥へ進むと、さらに地下2階に通じる階段があった。その階段を下りて、さらに奥に進んだとき、「キャーッ!」最後尾を歩いていたナナが悲鳴を上げた。
 アルスとカインが振り向くと、白い相手がナナの体めがけて右手を振り上げて、今にも襲いかかろうとしていた。太古の呪いに取り付かれたミイラ男だ。
「こうなったらっ!ナナっ!」
 カインはゴーグルをおろすと、魔道士の杖を高々と頭上に振りかざしながらナナを見た。
 ナナは、すぐカインの作戦を理解した。連携攻撃1発で倒すつもりだ。
 ナナは魔道士の杖を振りかざすと、カインと呼吸を合わせて、一気に振り下ろした!2人の杖から小さな炎の波がほとばしる!
 ギラの魔力を秘めたジュエルズアミュレットを先端に埋め込んだ魔道士の杖の力を使うと、2つの小さな炎の波が放たれたその直後、「ギャーッ!」悲鳴と共にミイラ男の体は動きが止まり黒焦げになった。
 2つの小さな炎の波が同時に炸裂することによって、いつもより効果が倍増した。
 ちょうど、大かなづちをかざしていたアルスが振り下ろそうとしていた。だが、その必要はなかった。
 黒煙をくすぶらせながらミイラ男はオレンジ色の目から光が消えると、大きく床に倒れ転がり、それっきり動かなくなって青白い光に包まれて消えた。
 突然の魔物の出現に驚いて、カインとナナは、その場に座り込んでしまった。カインの魔道士の杖は、力を使い果たしてジュエルズアミュレットが砕けてしまった。ただの杖としては使えるが、もう道具としては使えないだろう。
 勇者の子孫たちはさらに地下3階に下りて、奥へ進んだ。
 そして勇者の子孫たちは、また奥へ進んでいった。
 こうして、この階に2つ存在した地下への階段のうち1番奥にあった西の階段をおりることにして地下4階へと進んだ。
 まだ先は長いようで、気を取り直すと、勇者の子孫たちは階段を探しまた地下へ続く階段が2つあった。今度はこの階の中央にある別の上に上る階段の近くにある階段を使って地下5階に下りた。
 勇者の子孫たちは、必死に進んで、地下6階へ下へと下りた。
 そして、ひときわ長い曲がりくねった階段を下りて、『あっ?』思わず声をハモらせた。
 地下7階の巨大な空間に出たのだ。前方に宮殿が見える。
 だが、その宮殿は一部が無残にも崩壊していた。
 その周りで、真っ青な地底湖が、水の音を立てている。
 勇者の子孫たちは、崩壊した宮殿跡の奥へ壁にかけられたいくつかの燭台の明かりを頼りに進んだ。
 異様なほど静まり返っていた。時々地底湖の水の音がするだけだ。
 勇者の子孫たちは、だんだん緊張してきた。
 バリアやいくつかの小さな毒の沼を越えてさらに進むと、その奥に、広い空間があった。
 ここも他と同様に、巨大な円柱や天井がわずかだが無残に崩れ落ちている。
 かつての竜王の謁見の間につながっている。
 勇者の子孫たちは、この竜王の謁見の間に進んでいくと、『ああっ?』声をハモらせ恐怖に顔を凍てつかせた。
 アルスより一回り小さく、カインより1回り大きいものが、目の前の玉座に座って、左手にドラゴンの杖を持ちながらじっと3人を睨んでいた。口許にかすかな笑みを浮かべているが、眼は異様に鋭く輝いている。
「こいつは・・・・・・?」
 ナナは、愕然とし、1瞬自分の目を疑った。
 アルスもカインも同じだった。
 ・・・・・・竜王が生きているはずがないからだ。だが、目の前にいる相手は、壁画や絵画や絵本に描かれている竜王にそっくりだ。いや3人が知っている竜王そのものだった。もし本当にそうだとしたら・・・・・・竜王は死の世界から蘇ったとでもいうのか!
 ナナは身構えた。
「竜王めっ!」
(続く)

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ともちん

DQ2は一番好きだと言っていたのですが
ストーリーを忘れてしまっています。
この先・・・どうなるか・・・忘れていた方が
楽しみが多くていいかもしれませんが
自分の記憶力が残念です^^;
続きを楽しみにしています。
by ともちん (2012-12-02 23:56) 

あばれスピア

ともちんさん
この先はまさにフリーダムになるので、人によっていろいろとゲームの進め方に違いがあるかもしれませんね。
ぜひ少しでも思い出すきっかけになればいいんですが。
by あばれスピア (2012-12-04 00:41) 

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