9 バラモス城(3) [DQ3-2]

9 バラモス城(3)



 さらに奥には、城の中へおりる階段が続いていた。
「なんちゅう広さなんだ、この城は・・・・・・」
 エルトが、呆れて呟いた。
 階段の先は、またも通路になっており、やはり突当りには部屋があった。これまでに通路と広間、そして階段。この繰り返しをえんえんと進んだアルスたちは、それまでとは比べものにならないほど狭い部屋に出ようとしていた。
「どうやら、バラモスの部屋じゃなさそうね」
 ミゼラの言葉に、皆が頷いた。
 念のため、狭い部屋の中を確認しようとして、「なんだ、あれは?」エルトが部屋の中央に古い木製の宝箱を3つ見つけた。部屋はこの城の宝物庫だったようだ。近づいてエルトが開けようとすると、「待って!呪文で確かめないと」ローザが慌てて止めて、エルトは思い直すと、ローザとエルトは声をハモらせた。
『インパス!』
 サマンオサの洞窟で襲われたミミックのことを思い出した。だが、どの宝箱にも魔物の気配はないようだ。
 3つの宝箱のうち、1つ目には魔力を回復させる祈りの指輪が、2つ目にはいかにも呪われていそうな不幸の兜が入っていた。そしてエルトが徐に3つ目の宝箱の蓋を開けると、なかには一振りの巨大な斧が入っていた。大小2つの鋭い刃のある立派な斧で、柄に精巧なトゲのレリーフが施してある。斧のなかで最高の切れ味と破壊力を持つと伝えられている魔神の斧だったが、アルスたちは知る筈もなかった。エルトが試しに持ちあげようとしてみたが、重すぎてビクともしない。
「こりゃあ、かなり重たいよ。ミゼラでも使えるかどうだか・・・・・・」
「貸してみて」
 ミゼラは手に取ると、鋭い刃音をたてて、ビュンビュンと振りまわしてみた。
 確かに重たいが、その切れ味は確かのようだった。アルスとローザとエルトは、その見事な斧さばきに感心しながら見惚れた。成長しているのは、アルスだけではなかった。ミゼラもまた、剣術の腕だけでなく、腕力も以前とは比較にならない程強くなっていた。ミゼラは魔神の斧を自分の荷物にしまうと、「ただ、実戦で使うのは難しそうね。さっきのはぐれメタルになら、有効かもしれないけど」そういって、自分のドラゴンキラーの刃を見乍ら笑った。
(続く)

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