9 バラモス城(5) [DQ3-2]

9 バラモス城(5)

 中庭を抜け、部屋に入った先の階段をおりて、地下通路の先の階段をのぼると、突然曰ありげな大広間に続く通路に出て、アルスたちは思わず緊張した。通路の最初の角を右に曲がって、大広間に入る。部屋の周囲にバリアが貼られていた。
『トラマナ!』
 ローザとエルトの声がハモる。アルスが稲妻の剣を握り直し、息を殺して魔物の気配をうかがい乍ら中央に進むと、そこには玉座があった。距離があっても、玉座にかつての城の主と思われる人物の屍が、座ったまま放置されているのがはっきりと見えた。大広間は、この城の謁見の間だったようだ。
 玉座のある空間は、3方が厚い壁に阻まれていた。だが、玉座の前方の壁に、両開きの扉があった。アルスが扉に触れると、扉は音をたてて、左右に開いた。扉の先は城の外につながっていて、ずっと進んでいくと、北東の池の中心に続く道の先に下へおりる階段を見つけた。アルスが、試しに階段に向かって稲妻の剣を突き出すと、とたんに稲妻の剣がバリアの衝撃波の渦に触れて激しく揺れた。
『トラマナ!』
 さっそくローザとエルトの声がハモり全員にトラマナの呪文を唱えた。
 階段は予想以上に深かった。エルトが100段まで数えたが、途中で数えるのをあきらめた。
 長い、深い階段を抜けるとやがて熱い空気が漂う、炎のように明るい神殿のようなところに出た。
 アルスたちはさらに緊張した。部屋の壁を悪魔の顔と翼不気味なレリーフが施された巨大な円柱がどれもいくつもの篝火の明かりに照らし出されているが、天井はどこまで高いのか想像すらつかなかった。と、「ふっふっふ・・・・・・」不気味な笑い声が響き渡った。
 祭壇にバリアの衝撃波が貼られ、そのさらに上の祭壇の闇で、異様な気配が蠢いていた。
『トラマナ!』
 ローザとエルトの声がハモると魔力の光に守られながら彼らは祭壇に進んだ。進みながらアルスは祭壇に現れたのはバラモスだと判断した。
「お前はっ!バラモスだなっ!」
「ついにここまで来たか。アルスよ。いかにも。わしが魔族の王、バラモス・・・・・・!」
 ゾッと背筋が凍るような恐ろしい声とともに、蠢きの中心に黒い2つの小さな光がともると、それはやがてバラモスに姿を変えた。
 黒い光はバラモスの小さな眼だった。その恐ろしい双眼がアルスたちを見つめていた。大きく裂けた醜い口。獰猛な1本の角。巨大な手足。研ぎ澄まされた鋭い爪。鋼鉄のような強固な鱗状の肌。男の魔法使いのような服装。高さはゆうにアルスたちより一回り大きい。バラモスの真の姿だった。
(続く)

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