4章ー3 コーミズ(2) [DQ4-2]

4章ー3 コーミズ(2)


「覚えてない、姉さん?前、この宝箱は、鍵がなくて開かなかったけど、わたし達、よく探検の目標にしてたじゃない?」
「そうだったっけ?」
「ええ・・・・・・。・・・・・・わたしが持っていてもいい?」
「ええ。いいわよ。どうせあたしには、使い方がわからないし。そうしてちょうだい」
 ミネアは懐を探って、ハンカチを取出し、とりあえず玉を包んだ。
 父さんのたった1つの形見だ。
 そう思ったとき、マーニャの胸はチクッと痛くなった。たとえ、使い方がわからなくったって、それを、あたしが持っていたい、そんな気がしたのだ。
 だが、言わなかった。そんなこと。
 洞窟を出て1度コーミズまで引き返すと、休まずに北東へ進んだ。ここまでで気になったのは、やはりキングレオの国王陛下の話だ。それにバルザックが悪魔に魂を売ったのは、わかったが、まだ肝心の居場所までは確定したわけではない。久々に外に出たオーリンとともにマーニャたちはキングレオの城に向った。
 途中、野宿して翌日の午後到着したその城は、どこか威圧的な城だった。城門の上にはキングレオの紋章の黄金の獅子の顔のレリーフが飾られていた。マーニャたちは、ここの国王に会ってみようと思った。
 城門には血色の悪い兵士がいて、入り口を見張っていた。兵士は高飛車でぶっきらぼうだった。幼少期にマーニャたちは父やオーリンと一緒に城に何度か来たことがあったがマーニャたちの見覚えのない人だった。マーニャたちは城で女の子たちを集めているという噂を利用して中に入ろうとしたが、兵士はにこりともせず入れてくれない。悔しいが真正面から入るのは無理そうだ。
 仕方なくマーニャたちは兵士から見えなくなる場所まで遠ざかると、とりあえず2つの噴水のうちの西の方に身を隠した。マーニャたちの件で城のほうでは何も起こっていないようだ。兵士は普段の任務を遂行するだけで精一杯で、マーニャたちの顔もろくに見ていなかった。なんとか1度中に入ってしまえば、既に入場している女達に溶け込んで見分けもつかないはずだ。
 早速、城門に近い木々の影に隠れ乍ら城門の兵士に気付かれないように、城門にまわった。ミネアの鎖鎌やオーリンの腰の鉄の槍、マーニャのクロスボウ、そして必要な道具はからだに括ってある。余分な皮のドレスの裾なんかは、万が一、動きの邪魔になったりしないように、よく確かめて、縛り付けて纏めた。
 城門は、魔力のかかった扉で守られていた。扉には鍵がかかっている!特殊な方法でないと開くことも出来ない不思議な扉だ。しかしオーリンが鍵をこじ開けた!オーリンの得意技は、その怪力を生かした錠前破りなのだ。
 扉が開くとミネアが直ぐに中に入った。城の2階へ続く中庭が広がっている。見回す。
 ラッキーである。
 誰もいない。どこか遠くから、笑い声が聞えるだけ。
 ミネアは後ろのオーリンとマーニャに、おいでの合図をした。すぐに、オーリンとマーニャも追いついた。中庭は東と西の池を渡るための石橋がそれぞれにかかり外周の廊下と繋がっていて、きれいな花がたくさん咲き乱れている。
(続く)

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