4章ー3 コーミズ(3) [DQ4-2]
4章ー3 コーミズ(3)
オーリンと一緒に、用心し乍ら、中庭を抜出す。
廊下まで来てマーニャは、ようやく肩の力を緩めた。
手早く用意を整えた。誰かに見つかったら、みんなで踊りや歌、芝居の準備をしていたって誤魔化すしかない。
兎に角、ちょっと、城全体の様子を探ってみよう。
マーニャたちは、こそこそなんか歩かなかった。堂々と、ゆっくりと、普通の足取りで。その方が、誰かに見つかっても怪しまれない。かえって、人目をひかないはず。
取合えず、さっき笑い声のした2階のほうに向ってみることにした。すぐ近くの階段から上がると、そこは城の1階の天井部分で外だった。2階の中へ入れる扉を見つけてマーニャたちは中に入った。国王の謁見の間は、どこの城でも大体2階以上の場所にある。・・・・・・マーニャとミネアが子どものころ、いつも父が迎え入れられていたあの部屋があるはずだった。
だが、行ってみて、驚いた。国王の部屋そのものが、どこにもない。玉座も、絨毯も、燭台も銅像も、何もない。何一つなくなってる。
呆気に取られて廊下を歩いていると、誰かに、ぶつかりそうになった。
「きゃあっ、ごめんっ。やーんっ、どいて!追いつかれちゃうう。きゃっきゃっ!」
・・・・・・どこかで見たことのある女。確か、マーニャの知り合いの踊り子ではないか!
(続く)
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