4章ー3 コーミズ(4) [DQ4-2]
4章ー3 コーミズ(4)
追いつかれちゃう?
「でへへー。待てぇ!つかまえちゃうぞー」
なるほど、追手がいるのだった。追いかけてくるのは、覆面をかぶった太り肉の、いかにも野蛮な荒くれ男。呆気に取られたマーニャたちの目の前をそいつが通り過ぎる時、酒と垢と男の体臭の混じった凄まじい匂いが漂ってきて、マーニャは思わず息を止めた。
女と男は、きゃあきゃあ、でへでへ言い乍ら、角を曲がって遠ざかってゆく。
「・・・・・・なにあれ?」
「足出して、突っ転ばしてやれば良かったかしら?」
「いや、楽しくふざけてるだけみたいでしたよ」
首を捻り乍ら何気なく、近くの部屋をのぞき込んで。マーニャたちは目を見張った。
そこは明らかに、爛れた乱痴気騒ぎの跡だった。部屋には2台のベッドと2つの燭台、丸い石造りの小さなテーブルが1つ置かれている。
どうやらさっきまで本物の、ぱふぱふの部屋と化していたようだ。
やれやれ。マーニャたちが、濡れてようと、酔ってようと、これまで城の中で見たことのない女の子だろうと。城にいるものらは、何もわからなかったに違いない。
(続く)
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